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食事前に飲むお酒。イタリア式アペリティーボを楽しもう!
アペリティーボとは、「食前酒」と訳されますが、「食事の前に飲むお酒」という狭義の意味にとどまらず、食事の前におつまみを食べながらお酒を飲み仲間と時間を過ごすという広い意味をもっています。イタリアでは、アペリティーボは日常に欠かせない習慣であり、文化です。今回は、そんなアペリティーボの楽しみかたをご紹介します。
目次
アペリティーボとは
アペリティーボとは、ラテン語の「aperitivus(開く)」に由来し、空腹を刺激する(開ける)飲みものを意味するイタリア語です。医学の父と呼ばれるヒポクラテスが紀元前5世紀、ニガヨモギや花、香辛料、甘味料を混ぜたワインを食欲不振の患者に処方したとされています。現在の食前酒の原型は、古代ローマにすでに存在していて、それはワインとハチミツを混ぜた飲みものだったそうです。
現在のアペリティーボが定着したきっかけは1786年。北イタリアの都市トリノの小さなお店で、白ワインに30種類以上のハーブやスパイスを煎じたものを加えたベルモットが作られました。ベルモットは、いわゆるフレーバードワインで、そのまま飲んだり、カクテルに使われたりして食前酒として飲むことができます。ベルモットは瞬く間にイタリア全土とヨーロッパに広がり、その後いろいろなカクテルが登場しました。そして、夕食前に食前酒を飲む習慣、アペリティーボ文化が確立したのです。
イタリアでは、夕食の開始時間が20時から21時ごろなので、その前の18時、19時くらいからアペリティーボを楽しみます。軽いおつまみを食べながら、お酒を1~2杯飲むのがスタンダード。飲食を楽しむというより、会話を楽しむ時間です。同僚と交流を深めたり、友人とおしゃべりしたり、カジュアルな社交の場なのです。
アペリティーボのドリンク
アペリティーボで飲まれるドリンクは、カクテル、ビール、ワイン、ノンアルコールカクテルなど、さまざまですが、王道はやはりワイン。そのなかでも、スパークリングワインのプロセッコが人気ナンバーワンです。
プロセッコは、北イタリアのヴェネト州を中心とした地域で造られているスパークリングワインで、世界で最も生産量の多いスパークリングワインです。
プロセッコがアペリティーボにポピュラーなのは、いくつか理由があります。まず、ソフトな泡が食欲を刺激してくれ、食前に最適です。また、フレッシュでフルーティーな味わいは最初の1杯にぴったり。軽やかな口当たりでフードフレンドリーなワインのため、さまざまなおつまみに合わせることができます。さらに、リーズナブルな価格でカジュアルに楽しむことができるからです。
プロセッコはそのまま飲まれることもちろん、数多くのカクテルのベースにもなります。近年イタリアで大流行のスプリッツは、アペロールというリキュールとプロセッコとソーダを混ぜたカクテルです。アペロールの色であるオレンジ色が映えるカクテルで、若者のあいだで人気があります。
アペリティーボのおつまみ
イタリアでは、ドリンクを注文すると無料でビュッフェのおつまみを食べることができる形式のアペリティーボを提供しているバールが多く、気軽にアペリティーボを楽しむことができます。
おつまみは、パンにペーストをぬったクロスティーニ、パンの上にトマトをのせたブルスケッタ、ひとくちサイズのピッツァなど、ぱくっと食べることができるものが主流です。そのほか、おつまみパイ、ライスサラダ、パスタサラダなど、バールによってバリエーション豊かなビュッフェがあります。
バールだけでなく、おうちでももちろんアペリティーボを楽しむことができます。おうちのアペリティーボのおつまみは、調理を必要としないチーズやサラミ・ハム、オリーブ、ナッツなどが一般的です。
アペリティーボの過ごしかた
アペリティーボは、気軽に楽しむもの。同僚や友人と近況報告したり、たわいもない話をしたりして、楽しいひとときを過ごします。「気軽に」というのがポイントです。食事となると時間がかかります。外食するとお金もかかりますし、ホームパーティだと料理をするホストの負担が大きいです。短時間に、リーズナブルに、気がねなく楽しむことができるのがアペリティーボなのです。
アペリティーボには、仲間との人間関係をより親密にしてくれる力もあります。食事だとかしこまってしまう相手でも、アペリティーボなら気構えずに楽しむことができるでしょう。
日本にはアペリティーボの習慣があまりないからできなそう、と思っているあなた。おうちで夕食を作りながら、家族と食前酒を飲み、食事までの時間を一緒に過ごすだけでも、アペリティーボを楽しむことができます。気楽にエンジョイしましょう。
まとめ
おつまみを食べながら食前酒を気軽に楽しむアペリティーボ。食べたり飲んだりするだけでなく、仲間との関係もよくしてくれます。ぜひ日常に取り入れてみてください。
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